死発列車
しかし誰も助けることはできない…
「死ね!バ~カッ!」
女は仕返しのごとく捨て言葉を発した。
彼女の限界に達した動きと発言はすべて芝居だった……
大館はそれを察すると力が抜けた……
「…おいっ…お前!………わぁァアアアァ…!!!」
大館の手は力尽きた…
何度も空中で吊り革を掴もうとしたが届かず目の前から姿を消した……
「……ハハハハハッ!ざまぁみろっ…!!」
女性の甲高い笑い声が辺りに響く。
「てめぇ…!お前が落ちたときはこの赤ん坊もおさらばだ!!覚えておけよ…!!」
左藤が言う言葉に女はまったく聞く耳をもたず、ただひたすら笑っていた…
「…間もなく内原、内原です。トラップにお気をつけください…」
またトラップがあるのか…
ホームをよく見ると、また黒い服を着た男たちがこちらをマシーンで狙っていた。
またバレーボールなのだろうか…?
絶対手を離すことのないよう、力を入れて吊り革を握った。