死発列車





「……ハァ…ハァ……」



なんとか間に合うようだ。




切符を購入したときにはすでに5時29分を過ぎていた。
ホームに着くと、すでに電車が停まっており、乗客はもうそれぞれの車両に入って、あとは出発を待つばかりの状態だった。


若い男の車掌が笛を加えてボタンの操作をしている。

心なしか誰かに似ている気がしたがすぐに頭から離れた。




本当は特急電車に乗りたかったのだが、途中次の勤務先に寄らなくては行けないため、そこへ行くにはこの各駅停車の電車に乗らざるを得ない。



ラインはいつものように1両目に乗っていた。この1両目は必ず上野駅のちょうど階段横にとまるため、ラインは最近必ず1両目に乗るようにしている。

同僚も自分に合わせてこの車両に乗ってくることもあった。


まぁ今日は始発だから会うことはないだろう……




「ふぅ…」



あたりを見回すと自分と年が同じぐらいの男もいれば、赤ちゃんを抱っこしている女性、泊まりがけの旅行をする人など まちまちだ…

入って近くにある座席に座ることにする。

そろそろ出発するだろう……




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