死発列車


「……それに考えてもみてくれ……。あの赤ん坊はどうするんだ…。俺達が死んだところで、あの娘は誰が預かるんだ…?!…赤ん坊が残っても、預かり手がなければ結局は死んでしまうんだよ…」
「…じゃあ、あたしが死ぬ…!」
「立川……分かってくれ……」
「…でも…でも……」
また立川は泣き出す。




「大丈夫だ…。お前ならできる………さて…もうお互い限界だ…」
そういってラインは最後の力で財布を取り出し立川に渡した。
「……俺の、日頃からのお前に対する想いが分かるはずだ……大切にしてほしい…。俺のことが好きなら、俺が決めたことを受け入れてくれ……」

「ライン…」





そしてラインは最後に下を向いて言った……









「……立川………………ありがとう…!………じゃあな!」


フッと目の前からラインの姿が消えた…





立川にとってその瞬間は無音だった…



自分の叫び声も耳に入らなかった……











ラインは生涯を終えた…



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