死発列車
男は少し困った顔をして答えた。
「……そうかもしれねぇが…、ただ俺一人が犠牲になって済む話なら、こんなことしたくねぇ……。俺が死んですぐ解決できるんだ……。けど、お前も含めてこの車内にいる奴まで死なせることはできねぇよ……」
そのとき、美倉の胸が一瞬だけ熱くなった。
「…だから頼む…。爆弾を探すの手伝ってくれ…。」
「………………うん…分かった…。」
美倉は立ち上がった。
これで2両目の乗客13人は皆、爆弾を探し始めたのだった。
大原 丗烏(おおはら としお)。『目の前で困っている人がいれば見捨てない』…その言葉を胸に、カウンセラーを続けてきた。
2年前、両親に旅行をプレゼントしたのだが、旅行先から飛行機で帰国してくる途中に墜落事故に巻き込まれ両親を失う。
大原にとって非常に自責の念にかられたその出来事以後、人の命が関係することに敏感になり、彼のカウンセリングも変化していった。
彼のカウンセリングは本人そのものの情がにじみ出ている…そのように多くの信頼を得てきた大原は、皆が助かるなら自分の身を投げ出すことさえ惜しまないつもりでいた。
「……そうかもしれねぇが…、ただ俺一人が犠牲になって済む話なら、こんなことしたくねぇ……。俺が死んですぐ解決できるんだ……。けど、お前も含めてこの車内にいる奴まで死なせることはできねぇよ……」
そのとき、美倉の胸が一瞬だけ熱くなった。
「…だから頼む…。爆弾を探すの手伝ってくれ…。」
「………………うん…分かった…。」
美倉は立ち上がった。
これで2両目の乗客13人は皆、爆弾を探し始めたのだった。
大原 丗烏(おおはら としお)。『目の前で困っている人がいれば見捨てない』…その言葉を胸に、カウンセラーを続けてきた。
2年前、両親に旅行をプレゼントしたのだが、旅行先から飛行機で帰国してくる途中に墜落事故に巻き込まれ両親を失う。
大原にとって非常に自責の念にかられたその出来事以後、人の命が関係することに敏感になり、彼のカウンセリングも変化していった。
彼のカウンセリングは本人そのものの情がにじみ出ている…そのように多くの信頼を得てきた大原は、皆が助かるなら自分の身を投げ出すことさえ惜しまないつもりでいた。