死発列車



[2両目]


なかなか爆弾が見つからない状況に車内には焦りが見られた。

ガタンッ!!

「…うわっ!」
中年の男が不注意で先程発見した爆弾を蹴ってしまった。

「おいっ…!気をつけろ!!!」
「すいません…!ホントにすいません…!!」
派手な格好の男にピシャリと怒られますます恐縮してしまった。




眞加辺 辰也(まかべ たつや)は昔から猪突猛進な所があった。
爆弾の捜索が開始したときも他の乗客と何度もぶつかってしまい その度に彼の謝る声が聞こえた。



なんで私はこんなにダメな人間なのだろうか…




眞加辺は事あるごとに頭を悩ませていた。


仕事も毎日が首の皮一枚の成果であった。
何に気を付けたらよいのか、どこを直すべきなのか、彼自身にも分からなかった。





そして今日もいつも通りホームで若い駅員とぶつかる…












突如、先程まで爆弾を探していた女の子が美倉に近づいてきた。


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