死発列車
無理をしているのは見え見えであった。
木ノ本の顔は引きつっていた。



車内の視線は木ノ本が探し始めるのを何秒か見届けていた…




こうして2両目は全員で爆弾の捜索にかかった…






[3両目]


3両目も長い時間無言が続いていた。


「……お母さん、お父さん……」

木南は両親とこんな形で別れが来るとは思ってもいなかった…もしかしたらあと70分程で自分がもうこの世にはいないかもしれないと考えると怖さが増した…。

白井も隅の席でぶつぶつと『パパ、ママ…』とつぶやいていた…



他の13人は二人のことすら目に留めず、ひたすら爆弾を探している。

二人はたまに飛んでくる視線を感じる度に、自分も探し始めた方がいいのかもしれないと思い始めていた…。


「…ったく、どうなっても知らねぇぞ…!」
横目で二人を見ながら中嶌はボソッと言った。








その時、木南の目先にある隙間から赤い灯が見えた…





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