死発列車
「る…の…い…を…う……」
それぞれの車両では音読していた。
そして誰もが電光掲示板にくぎづけとなった。

文的におかしい…何かと頭をひねって読まなくてはいけないということは分かっていた。

すべての文字が流れると再び同じ文が右から流れていた。
「……一体どう読むんだ…?」

流れた文字は左から…
る、の、い、を、う、と、ん、け、だ、か、な、の、ら、び、と、し、く、か、の、う、ょ、じ、ん、て、は、ぐ、う、ど、い、た、い、か

「……分からない…。」木南がつぶやく…

松川は流れた文字を胸ポケットにしまっておいたメモ帳に書き出し、いろんな方法で読んでいた。

これは一回ローマ字に…?…『電光掲示板』にヒントが隠されているのか…?……それとももっと簡単に読める方法があるのか…?

「…ねぇ、これ何て読むと思う…?」松川は座席で体育座りをして下を向いている白井に声をかけた。
こういうものは子供のような柔軟な考え方が必要かもしれない…そう考えた結果だった。

白井が顔をゆっくりあげ、手帳に書かれている文を見たが、首を振った…。
「………分からないよ…。」
「……そっか…。」
松川がその場を去ろうとした…
「…ちょっと待って!」
白井が突然声をあげた。

[2両目]
その頃2両目でも美倉がとっさに携帯にメモした文を皆で眺めていた。








「……私分かったかもしれない…」木ノ本がささやいた…

「…えっ?ホントか……!?」
「うん……あそこだよ…!」
木ノ本は天井を指差した…

[3両目]
「……おいっ!……どうした…!?何が分かったんだ…!」
「…あの天井の扉開けてみてくれますか…?」
それを聞いて中嶌は呆れながらも背が高い男性に近づきしゃがむ。
「………?」
「…ほら、確かめるぞ…乗れ…」
男性は中嶌に肩車され白井の指差す方にある扉を開けた。
天井の一部と化していたその部分を押すと、簡単に持ち上がって開いた。


「……おっ!なんかある…。」
天井裏に赤いステンレス製の箱に入った工具が置いてあった。
「……でかしたぞ!ボウズ!!」
白井は小さく微笑んだ。

「…さぁ解体するぞ…!」
< 99 / 157 >

この作品をシェア

pagetop