光の射す方へ
「みんな、宿題はちゃんとやってきましたか?」



斉藤菜美(さいとうなみ)の言葉に、4年3組の生徒は一斉に手をあげた。



菜美は思わず微笑んだ。



―――あれ?



ふと、その中で一人だけ手をあげていない生徒がいるのに気づく。



「風見さん」



名前を呼ばれ、理帆子はビクッと体を震わせた。



「宿題できなかったの?」


「・・・」



以前から無口でおとなしい生徒である。しかし、今日の理帆子は特に生気が抜けていた。



「難しかったのかしら?」



「・・・」



何を言っても応えようとしない。



「みんな、ちょっと自習してて」



プリントを配ると、菜美は理帆子を廊下へ連れ出した。



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