光の射す方へ
「どうして。言えないことなの?」



「・・・」



「あなたの力になりたいの」



菜美の言葉に、理帆子は顔をあげた。



「―――何が出来るの?」



それには、菜美も言葉に詰まった。



「私が話したって先生は力になんかなってくれない。先生に何が出来るの?絶対に解決出来るって言い切れる?」



「・・・」



今度は菜美が黙りこむ番だった。



「そんな簡単に力になるとか言わないで」



「風見さん・・・」



菜美がそっと手を伸ばす。


その手を振り払って理帆子は走って行ってしまった。




―――人に頼っちゃダメ。



期待して裏切られた時、私はもう何も信じられなくなるから。



ずっと信じてきた光でさえ・・・。






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