光の射す方へ


「先生」



菜美はボーっと一点を見つめたまま何やら呟いていた。



「先生、聞いてる?」



目の前に生徒の顔が現れて、菜美は我に返った。



「え、何か言った?」



「もう、先生ってば」



「ごめんごめん。もう一回言ってくれる?」



―――いつまでたっても理帆子は戻ってこない。



菜美はそのことばかりが気になって、何も手につかなかった。



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