光の射す方へ
「・・・ただいま」



返事がないと分かっていても、つい習慣として言ってしまう。



理帆子は足音をたてないように階段を上がると、自分の部屋に向かった。



今日父親は会社の上司と飲みに行っていて、家にいるのは母親の順子(じゅんこ)と理帆子の二人だけ。



理帆子はランドセルから取り出した日記を開いた。



毎日欠かさずつけているのだ。



日記には、理帆子のもう一つの人生が書き綴られている。



「今日はお父さんとお母さんと三人でトランプをして、美味しいご飯を食べて・・・」




日記の中では幸せでありたかった。



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