幻想美術館
死んだ子供を、腕に抱いて泣く母親。

撃ち殺された人々の死体。

僕は、何も出来ずに、通り過ぎていく。

罪悪感に苛まれながらも、ひたすら逃げていた。

どれくらい走っただろうか…

僕は、くたくたになって、地べたに寝転んだ。

…と、その時、背中や腕にヌメッとした感触が広がり、恐る恐る身を起こした。

手を見ると、真っ紅な血がついていた。
< 10 / 46 >

この作品をシェア

pagetop