幻想美術館
その時、突然空が歪み、僕は見た事もないバロック風の建物の前に来ていた。

後ろを振り向くと、いつもの散歩道は、あとかたもなく消えて、広い庭の中にぽつんと噴水があった。

水しぶきが踊る水面に、青白い光が揺らいでいた。

見上げると、そこには大きな口で笑いながら僕を見つめている満月がいた。
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