幻想美術館
「ようこそ、幻想美術館へ。」

のっそりとした太い声が、空から降ってきた。

あんぐりと口を開けたまま、僕はこの奇妙な月を見つめていた。

「さぁ、どうぞお客人。中へ入りなさい。」

満月がそう言うと、美術館のドアが、きしみながらゆっくりと開いた。
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