泣けないワタシ 〜最後のナミダ〜
泣かない
雪が舞う季節、ワタシは走っていた。

「なんでこんな日に限って大雪なの〜!!」

街は一面雪景色だった。 例年、雪とは無縁のこの街はちょっとしたお祭り騒ぎ・・・・ 電車のダイヤも大幅に乱れていた。

スーツを身にまとった一人の女性がオフィス街を疾走している。 彼女の口からは白い息が規則正しく吐き出され、さながら蒸気機関車のようだ。

「間に合うかな〜!! 面接時間」

美しいフォームで走る彼女はペースをあげた。

「よしっ間に合った!」

オフィス街に一際高くそびえ立つビルに彼女は吸い込まれる様に入っていった。
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