泣けないワタシ 〜最後のナミダ〜
ワタシは案内された部屋のドアをノックする。

「コンっコンっ」 「どうぞ」

「失礼します。」ワタシはノブを回し部屋に入った。


正面に男性三人がふてぶてしく座っている・・・・・
その前に椅子がひとつ。

「どうぞ」

一番左の男が着席を促す。

「失礼します」とワタシは座る。

中央の男が「名前は?」

ワタシは元気よく「常盤朋子です。」間髪入れず、中央の男、「年齢は?」

どうやら質問は中央の男がするみたいだ。

「30歳です」

「出身は?」

履歴書に書いてあるだろっ!と思いつつ、笑顔で「埼玉です。」

「最終学歴は?」

この男は馬鹿なのか・・・さっきから履歴書に書いてある事ばかり聞いてきて、「埼玉大学卒です。」

引きつりながら答えた。

「何か資格とかは持っているかね?」

ワタシは思わず、「履歴書に書いてあると思いますが!」

言ったとたん我にかえりハッとした・・・

しまった!やってしまった!前の会社でも上司とケンカして辞めたのだっけ・・・

恐る恐る、中央の男を見たと同時にまた質問してきた。

「彼氏は居ますか?」

「はぁ?」

「彼氏は居ますか?」

信じらんない!一流企業がこんなセクハラまがいの質問してくるなんて!

でもここはガマン!背に腹は代えられない。就職の為だ!

「はい。居ます。」

「妊娠の経験は?」

おいおい、コイツら真面目に面接する気ないだろ!もう頭にきたっ!

「質問の主旨が理解できないのですが・・・」

「妊娠をした事があるか聞いているのです」

ワタシは立ち上がって「ねえよ!この糞野郎!」と言い放って部屋を駆け足で出て行った。

なるほど、普通の女の子では泣いてしまう質問がまだまだ続く訳だな!

こんな会社コッチから願い下げだ!

雪景色のオフィス街。ワタシは家路に急いだ。「就職どーしよー」 泣きたい気分だった。
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