涙は煌く虹の如く
「ホント。だから賢もこのペースでいきゃ2時間切れるからなるべくセーブしないでゲームを進めていくとイイよ。上手くいけば明日にでも解けるかも…」
「マジ…?んだら早くやんねぇと…!」
休憩もそこそこに再びゲームを始める賢。
「おいおい……」
そのあまりの直情さに丈也は笑みを浮かべた。
不意にリビングを見回す丈也。
「………」
やはりそこから叔父の高次(こうじ)の影を感じることはできなかった。
さらに丈也は思い切って疑問のひとつをぶつけてみることにした。
「賢……」
「ピキューン、ピキューン…♪」
夢中になり過ぎてるようで返事がなく響くのはゲームの音だけ。
丈也は少しカチンときたが、その気持ちを抑えてもう一度声をかけた。
「なぁ、賢……」
「ん、何…?」
今度は返事があったが顔はゲーム画面に向いたままだ。
丈也は構わずに続けた。
「美久(みく)は今日どこに行ってるの…?部活か何かかな…?」
美久とは賢の姉で14歳の中学2年生。
当然丈也とは従妹の関係にある。
「知らない…」
賢は驚くほど抑揚のない調子で答えた。
「出かけてるのか…?」
「知らねぇってば…!」
「……!?」
今度は怒声に変わった。
明らかに姉を拒絶した、姉の話などしてくれるなという感じだった。
「………」
丈也の中に言いようのない怒りの感情が湧いてきた。
湧き上がってくる憤怒の感情を押し殺すために丈也は黙っていた。
まだこの島に来てわずか一日、ここで賢に怒りをぶつけるとその先にどんな結果が待っているかぐらい丈也にもわかっていたのだ。
「ピキューン、ピキューン…♪」
賢は無言でゲームに興じていた。
どことなく丈也に言い過ぎてしまったような気持ちがそこには見られた。
その感覚を察知した丈也が努めて静かな口調で再び尋ねた。
「賢…姉ちゃんに何かあったのか…?」
「………」
すぐに答えない賢。
ただ、また質問されることは予想していたようで、
「姉ちゃんなぁ……」
少しずつ話し始めた。
「姉ちゃん、中学になってからクラスでいじめられるようになったんだや…」
「エッ……!?」
全く予想だにしない回答であった。
「マジ…?んだら早くやんねぇと…!」
休憩もそこそこに再びゲームを始める賢。
「おいおい……」
そのあまりの直情さに丈也は笑みを浮かべた。
不意にリビングを見回す丈也。
「………」
やはりそこから叔父の高次(こうじ)の影を感じることはできなかった。
さらに丈也は思い切って疑問のひとつをぶつけてみることにした。
「賢……」
「ピキューン、ピキューン…♪」
夢中になり過ぎてるようで返事がなく響くのはゲームの音だけ。
丈也は少しカチンときたが、その気持ちを抑えてもう一度声をかけた。
「なぁ、賢……」
「ん、何…?」
今度は返事があったが顔はゲーム画面に向いたままだ。
丈也は構わずに続けた。
「美久(みく)は今日どこに行ってるの…?部活か何かかな…?」
美久とは賢の姉で14歳の中学2年生。
当然丈也とは従妹の関係にある。
「知らない…」
賢は驚くほど抑揚のない調子で答えた。
「出かけてるのか…?」
「知らねぇってば…!」
「……!?」
今度は怒声に変わった。
明らかに姉を拒絶した、姉の話などしてくれるなという感じだった。
「………」
丈也の中に言いようのない怒りの感情が湧いてきた。
湧き上がってくる憤怒の感情を押し殺すために丈也は黙っていた。
まだこの島に来てわずか一日、ここで賢に怒りをぶつけるとその先にどんな結果が待っているかぐらい丈也にもわかっていたのだ。
「ピキューン、ピキューン…♪」
賢は無言でゲームに興じていた。
どことなく丈也に言い過ぎてしまったような気持ちがそこには見られた。
その感覚を察知した丈也が努めて静かな口調で再び尋ねた。
「賢…姉ちゃんに何かあったのか…?」
「………」
すぐに答えない賢。
ただ、また質問されることは予想していたようで、
「姉ちゃんなぁ……」
少しずつ話し始めた。
「姉ちゃん、中学になってからクラスでいじめられるようになったんだや…」
「エッ……!?」
全く予想だにしない回答であった。