涙は煌く虹の如く
U島の人々の態度も相変わらずよそよそしかった。
河原での喧嘩や村杉に嫌われたことなどが丈也の預かり知らないところで広まっているようであからさまに無視するわけではないのだが、それでも明らかな”よそ者”に対する態度を丈也は感じていた。

けれでも、そんなことは丈也にとっては大きな問題ではなかった。
彼にとって一番の問題。
「………」
それは美久のことだ。
あの出来事以来彼女と話していない。
それどころか3日間会ってすらいない。
抑えきれないもどかしさを必死に彼は自分の心の奥底に納めたのだろう。
(いいんだ…僕は受験のためにここに来たんだからこれでいいんだ…)
そう思い続けた。


「フゥーッ……」
参考書が一区切りついた刹那に丈也は大きなため息をついた。
自分でも気になるほどの大きなため息だった。

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