涙は煌く虹の如く
第5章 夢現
次の日の夕刻。
「チッチッチッチッチッチッ…」
遠くで何か鳥が鳴いている。
「サァァァァァァァァッ…」
小川はその清廉さを表わすかのような音を立てて緩やかに流れている。
「シュッ…チャポン…」
何かが小川に飛び込む音。
音の主は丈也だった。
といっても丈也自身が小川に飛び込んだわけではない。
「ピクッ…!」
「おっ……!」
「シュッ…!」
丈也は手製の、本当にその辺の木の枝をカッターのみで加工したような釣竿を使って釣りに勤しんでいた。
加工してあるとはいえちゃんとした釣竿ではないので魚を釣っているわけではない。
「ヘヘッ、やっときたぁっ…!」
テグスの先には煮干が巻きつけられており、その先にはザリガニが餌にありつかんとその大きなハサミで煮干をガッチリと掴んでいた。
「イエイ…!」
丈也は嬉しそうに、そして無邪気な子供のような笑みを浮かべてザリガニを掴んだ。
よくいるアメリカザリガニではなく絶滅危惧種のニホンザリガニだった。
ニホンザリガニは綺麗な水にしか住めない。
そして、毒々しいまでの赤色のアメリカザリガニとは違い、若干黒ずんだ、それでいて自然を感じさせる体色が特徴だ。
「ヘヘヘ…」
以前U島に来た時にこうして美久や賢と遊んだことをふと思い出した丈也は秘密基地の林から1kmほど離れた小川に息抜きにやって来ていたのだった。
「ワシャワシャ……」
驚くべき生命力を鼓舞せんとハサミを必死に動かすザリガニ。
「心配するなよ…」
掌の中で悶えるザリガニを掴んだまま丈也は、
「スゥ…チャポン…」
極力低い位置からザリガニをリリースした。
「エイッ…!」
そしてひとつ気合を入れるとまた竿を投げた。
「チッチッチッチッチッチッ…」
まだ遠くで何か鳥が鳴いている。
「………」
丈也はひたすら無心になれるこの行為を心から楽しんでいた。
「チッチッチッチッチッチッ…」
遠くで何か鳥が鳴いている。
「サァァァァァァァァッ…」
小川はその清廉さを表わすかのような音を立てて緩やかに流れている。
「シュッ…チャポン…」
何かが小川に飛び込む音。
音の主は丈也だった。
といっても丈也自身が小川に飛び込んだわけではない。
「ピクッ…!」
「おっ……!」
「シュッ…!」
丈也は手製の、本当にその辺の木の枝をカッターのみで加工したような釣竿を使って釣りに勤しんでいた。
加工してあるとはいえちゃんとした釣竿ではないので魚を釣っているわけではない。
「ヘヘッ、やっときたぁっ…!」
テグスの先には煮干が巻きつけられており、その先にはザリガニが餌にありつかんとその大きなハサミで煮干をガッチリと掴んでいた。
「イエイ…!」
丈也は嬉しそうに、そして無邪気な子供のような笑みを浮かべてザリガニを掴んだ。
よくいるアメリカザリガニではなく絶滅危惧種のニホンザリガニだった。
ニホンザリガニは綺麗な水にしか住めない。
そして、毒々しいまでの赤色のアメリカザリガニとは違い、若干黒ずんだ、それでいて自然を感じさせる体色が特徴だ。
「ヘヘヘ…」
以前U島に来た時にこうして美久や賢と遊んだことをふと思い出した丈也は秘密基地の林から1kmほど離れた小川に息抜きにやって来ていたのだった。
「ワシャワシャ……」
驚くべき生命力を鼓舞せんとハサミを必死に動かすザリガニ。
「心配するなよ…」
掌の中で悶えるザリガニを掴んだまま丈也は、
「スゥ…チャポン…」
極力低い位置からザリガニをリリースした。
「エイッ…!」
そしてひとつ気合を入れるとまた竿を投げた。
「チッチッチッチッチッチッ…」
まだ遠くで何か鳥が鳴いている。
「………」
丈也はひたすら無心になれるこの行為を心から楽しんでいた。