涙は煌く虹の如く
その日の夜。
美久は真っ暗な自室でベッドに横になってぼおっと天井を眺めていた。


何であんな態度を取っちゃったんだべ…?

丈ちゃんのこと嫌いだからあんなことしたのかや…?

違う…

私は丈ちゃんのことが好き…

だって丈ちゃんは優しい従兄だもの…

私がいじめられていた時だって身体を張って助けてくれたし、母ちゃんに怒られた時だ
って必死で守ってくれた…

そんな人のことを嫌いになるはずがないっちゃ…

でも…

でも、あの時私は丈ちゃんを避けた…

嫌いだからじゃないんだよ…

嫌いだからじゃ…

ただ『今じゃない!』って思ったんだや…

何で…?

何で……?

何で………?

そうか…!

そうだったんだ…!

従兄だからだけじゃないよね、この気持ち…!

だから『今じゃない』なんだ…!

明日丈ちゃんに謝ろう…!

そして…

そして”今”を丈ちゃんにあげよう…!


美久はゆっくりと身体を起こして照明を点けた。

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