涙は煌く虹の如く
「訊きにくいけどジュンはあの丈也のこと実際にはどう思ってんのよ…?」
「どうって…?」
「あの盆踊りの時の態度が演技に見えなかったからよぉ…」
「ハハハッ、友だちをこうして騙せたらオラも女優になれっぺか…?あんな青っちろい東京モンなどアウト・オブ・眼中に決まってっぺ…!」
「そうかぁ、アハハハハ・・・!」
「アハハハハハ…!」
森中に響き渡るような大声で笑い合う3人組。

「ブツン…!」
丈也の心の中の何かが切れた。
「スクッ…!」
丈也は確実な意志を持って立ち上がった。

「キャハハハッ…!」
「ウンウン……!」
「そんでさぁ……」
「アハハハハハ…!」
ジュンと呼ばれた盆踊りで丈也に迫った少女ら3人は森中に響くような大声で会話を続けている。
「………」
その話を傍らで聞いていた丈也。
一部始終を耳にしたわけではないが、異常な会話の内容から異常な事態が起こっていることは丈也にも想像がついていた。
しかしながらまだそれは丈也の想像でしかない。
確信に変えなければならない。
「ツカツカツカツカ……」
既に明瞭な考えで立ち上がっていた丈也はジュンたちのもとへ歩み出した。

「アハハハハッ…!」
「そうそう…!」
「キャハハ…!……!?ちょ…ジュン…ヤバイって…!」
一人の少女が丈也に気づいて頓狂な声を上げた。
「……!?何でここにいんだよぉ……?」
ジュンの表情はそれまでのものと違い、明らかに戸惑いと狼狽の様子が見て取れる。
「ツカツカ…スッ…」
ジュンの問いかけはまるで無視して座っている3人の前に仁王立ちする丈也。

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