涙は煌く虹の如く
「………あ………」
「……!?」
「なが、れ…ぼし………」
「本当…!?」
「ウン、あの辺に……」
「残念だなぁ、見えなかったよ…」
「私も見えただけだぁ…願い事とかできなかったや…」

夜空を見上げて他愛もない会話をする丈也と美久。
二人は今、警察や村杉関係の人間から逃れてシーサイドホテルの屋上に身を潜めていた。
屋上には貯水槽がありそこにはハシゴが付いていて上れるようになっている。
貯水槽の上に座ってボンヤリとしているスーツ姿の二人。

「どんな願い事しようと思ったの…?」
「内緒……」
「チェッ…」
「ウフフフ…」

さっきまでの悪夢のような出来事を満点の星空が優しく浄化してくれている。
さっきまで二人の身体を濡らしていた嫌な汗を夜風が優しく乾かしてくれている。

「丈ちゃん……」
「ん……!?」
「ゴメンなぁ…私のためにこんなことになってしまってさ……」
「………」
一気に現実に戻る一言だった。
言葉に窮する丈也を構うことなく美久が続ける。

「なして…私の所さ来てくれたのや……?こんな無茶してさ…」
「……それは………」
「ウン……!?」
「それは………」
「……!?」
丈也はその場にスクッと立ち上がった。

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