23時の情熱

「瞳子ちゃん、ホントは好きな人いるんじゃないの?」



唐突な質問に、つい言葉を失う。

彼を見上げると、おどけた様な、でも悲しそうな顔で私を見ている。




「…なんでそう思うの?」

「うん、だって心ここに在らず、って感じだし」



「………」
何も言えなかった。


「彼氏とうまくいってないとか?」




彼はわかっている。


下手に隠しても意味が無いと思った。




「……ゴメン。なんかバレバレだね」


「瞳子ちゃん見てたら別れた彼女思い出して。そのコも俺といてもいつも別の事考えてる感じだった」




やっぱり、彼にまで辛い思いをさせていた。
申し訳無さでいっぱいになった。



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