23時の情熱
零れた涙が玄さんの膝を濡らす。


「な?おまえ苦しめんのわかってて縛るだけの男にはなりたないんや」




「おまえに泣かれると辛いねん。……それに、おまえの気持ちかてわかってるつもりやで……?」

清水くんだけじゃなく、玄さんまで苦しめていた。一度溢れだした涙は止まらない。


「瞳子は?俺の気持ちわかってる?」



「………」



涙は零れるのに、胸は暖かさに包まれていた。








「……好きや。俺瞳子の事好きや」



くしゃくしゃになった私の顔に、また涙が一筋流れた。






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