23時の情熱
胸のモヤモヤが消えた。





「好きや」




その言葉だけで私には十分だった。


私の涙を手の甲で拭い両手できつく抱きしめる。





「おまえでも泣くねんな」

「……うるさい」
グズッと鼻を啜り、私もきつく抱きしめ返す。

座ったまま、胸に顔を埋めている玄さんの肩が小さく震え、くくっと笑うのがわかった。


手が太股に触れる。

瞬間、立たされたままの私は全身に力が入る。

太股に触れていた手がゆっくりと這い上がり、スカートの中に滑り込む。




強張る身体は彼の手の行方に期待していた。





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