23時の情熱
声を殺し、指の動きに集中する。


彼の舌がベロリと乳房を一周すると我慢できずに小さな声が洩れた。



「……ぁ…はぁんっっ」


「声出したらアカンて言うてるやろ」

面白がっているようにしか見えない彼の顔を両手で挟み、強引に唇を塞いだ。


舌をいれると彼も舌を絡ませてくる。
さっき飲んだ、同じコーヒーの味。

キスの最中も止まらない彼の指の動きに感じてしまい、無意識に腰をくねらせた。


「会社でヤると興奮するな……。いつもより…濡れてるで……瞳子」

唇を離さず呟く彼に、スカートを捲り上げながら跨がる。


静かなフロアーに衣擦れの音とたまに洩れる掠れた私の声。

それにイスの軋む音が重なると、欲情するなと言う方が無理だった。




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