23時の情熱
「太ったんちゃうか?」
玄さんの第一声。
「…たった5日でそんな太る訳ないでしょ!」
思いっきり睨んで背中を叩いてやる。
「〜っ痛ぇ!」
まったく、久しぶりに会っていきなりそれ?!
今日は仕事が終わると私の部屋まで来てくれた。
先に帰っていた私は、大急ぎで晩御飯を準備して彼を待った。
部屋に上がるなり、これだ。
玄さんは笑いながら紙袋を差し出す。
「冗談冗談。ほれ、お土産」
「……あ」
「瞳子の好きそうな甘いモン。俺は食わへんけど一人で食って今度はホンマに太んなよ」
「そんなに私太らせたいの?……でもありがと」
苦笑しながら受け取った。
いつもと同じ玄さんに、少しホッとした。