23時の情熱
私が動かなかったせいで寝てしまったと思ったのだろう。
名前を言い間違えたことに気付かれなかったと安心したのか、ベッドから静かに抜け出し、タバコに火を着ける気配を背中越しに感じた。
目頭が熱を持つ。
ひどい。
幸せに浸っていた。
玄さんの愛情を全身で受け、その余韻に浸りきっていた。
………そんな時に。
どうしてこんなタイミング。
私は寝ていた。
眠っていて気づいてない。
………そういう事にしたかったのに、堪えきれずにとうとう、涙が溢れた。