23時の情熱
「…………聴こえたよ。ハッキリ。
真紀、ってハッキリ聴こえたよ!!」
「……………」
「なんでよ!なんで間違えんの?!
ひどいよ!なんでこんな時に間違えんのよっ!!」
涙声で叫んでいた。
「…奥さん?そうなんでしょ?奥さんの名前呼んだんでしょ?!
どうやったらベッドの中で奥さんと愛人間違えんのよ!!」
思いきり枕を投げつける。
「……ちょ、瞳子!ま、待て!」
彼の胸を拳で力いっぱい何度も叩いた。
「ふざけないでよ!バカにしてんの?!私の事なんて何にも考えてないからこんなひどいことできるんでしょ!!」
顔中涙でグチャグチャになりながら降り下ろす私の腕を掴み、
「……瞳子、…ゴメン瞳子、ちょっと落ち着け!」
暴れる私に慌てた彼が大きな声を出した。
「触んないでってば!!」
両手首を掴まれても、なお暴れた。
「…瞳子、聞けって!!」