23時の情熱





―――長い沈黙の後、立ち上がり、服を着る気配がした。







この場から消えて無くなりたい。



悪い夢だったらよかった。






遠ざかる足音。

夢じゃない。




「……ホンマ ゴメンな」




ドアの閉まる音。




まだ、ベッドの中で動けない。




まだ、涙は止まらない。







玄さんが出ていった後の部屋はやけに静かで、その時初めて外は雨が降っていることに気づいた。









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