23時の情熱
「カネゴン知らんわけあるかい。絶対テレビとかで観た事あるて〜……」

急に言葉を切り、困った様な、怒った様な顔で私を見つめる。


「…俺今日おまえとまだ全然話してへんよな」


私は目を合わせない。

「おまえの機嫌損ねたんは、今日ほとんど喋ってへん俺か?」


ヤな言い方。

「それとも具合でも悪いんか?」


今度は心配そうな口調。私は首を僅かに振った。

声を殺してボソボソと彼が言う。

「生理ならちゃんと言うてや」


?!
彼を軽く睨んで、言った。
「……もう5日目だし」

彼が軽く笑った。そして今度は優しい声色。

「今日はもう俺帰った方がエエか?」



狡い。

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