23時の情熱
長い間鳴り続けた着信音は、迷う私の指の下でようやく途切れた。







……出れなかった。



声が聴きたいのに、また今までみたいに話したいのに。



ディスプレイが涙で滲む。






すると、また携帯が震える。



玄さんの名前。







迷った挙句、今度は通話ボタンを押した。









「……もしもし…瞳子」








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