23時の情熱




…………玄さんの声だ。



体格の割りに少し高い、でも太くて男らしい、よく通る声。






大好きな声。





たった2日聴かなかっただけなのに、懐かしく感じてしまう。







「瞳子…?」


「……うん」



「会社休んでたやろ。……なんか心配なって」




「………」




「……って俺か、原因は」
苦笑いの混じった玄さんの言葉が胸を締め付ける。




「今駅まで来てる。……出てこれへんか」




ときめきと不安が胸を掠めた。




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