23時の情熱
「話したいねん。……出てこれへんのやったら俺がそっち行ったってエエ。
……まぁ、顔も見たないやろけど」
「……いいよ。行く。20分ぐらい…かかると思うけど」
「わかった。西口で待っとる」
電話を切った後もまだ迷っていた。
着替えを済ませ、重い足を引きずる様に部屋を出る。
何を言われるのか。
何を言うつもりなのか。
玄さんの口から聴くのが怖かった。
もう終わりにしたい…………?
もう逢いたくない………?
外の風は少し湿った空気を含んでいて、沈みかけた夕陽の赤が頬を撫でる。
心の中は鉛を飲み込んだ様にずしりと重く、より一層私の足取りを重くした。