23時の情熱
パシッ、という乾いた音が誰もいない高架橋の下に響いた。
「………なんで左やねん。遠慮せんで右で叩けや」
納得いかない様な顔で再び私を見つめる。
だって………。
迷ったが、今度は思い切り右手で左の頬をひっぱたいた。
右手の手のひらが熱を帯びて、熱い。
「……〜ってぇ〜。ホンマ遠慮ナシやな、今度は」
――――やっと、笑ってくれた。
「…たいしてすっきりしてないけど」
――――私も、笑った。