23時の情熱
第3章

過去と事実

この年の梅雨は短く、季節はあっという間に夏に変わった。



玄さんとの関係は相変わらずで、たまに仕事帰りに待ち合わせ、同僚に会わない様に気をつけながら食事をする。それ以外はお互いの部屋で過ごす時間が多かった。




この日も仕事が終わると玄さんの部屋に向かった。

夕飯の買い物をして、コンビニで雑誌を読みながら玄さんを待つ。
すると窓ガラスをコツコツと叩く音。顔を上げると玄さんの笑った顔。

急いでコンビニを出る。
部屋までの短い道のりを並んで歩く。




他人から見れば私達はどんな風に見えているのだろう。


恋人? 親子?

……見たまんまの愛人?



人からどう見えていようと、夫婦ごっこの様なこの時間が私は幸せだった。





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