23時の情熱
会社の中では、部署も違うので顔を合わせることは滅多にない。


すれ違って挨拶を交わすことはあるが、目を合わせることもほとんどしない。


すれ違うとドキドキした。
たまに目が合うと、ほんの一瞬だけ私を見て、

『ニッ』

と笑ったりする。



そしてその後はまた何も無かった様な顔で歩いていく。




もう、馬鹿なことばっかし……。


そんなことを考えながら、つい一人でニヤけてしまう。






―――バレない様に、見つからない様に。



誰にも内緒の私達の関係。



この時はまだこんな関係を楽しんでいた。



でも、楽しんでいる余裕もそう長くは続かなかった。






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