23時の情熱
黙りこくる私の様子がおかしい事に気付き、弥生が顔を覗き込む。


「……瞳子?」


更衣室には二人だけ。





「………ゴメン。言えなかった………」


「う、ううん、いいよそんなの。だって新山課長結婚してるし年もずっと上だし、なんか変な噂たっちゃうと瞳子が可哀想だな、って思ってたから」
早口でまくし立てる弥生。


「……違うの。そんなんじゃないの…」





「瞳子………」





「………付き合ってる…。
奥さんいるの分かってて……付き合ってるの……」



弥生には、言いたかった。
隠したくなかった。




「……ホントに………?」



誰かに、聴いて欲しかった。





< 143 / 183 >

この作品をシェア

pagetop