23時の情熱
いつの間にか皆席から離れて、4〜5人の集まりが4つほど出来ていた。


私の背中越しに、玄さんは座っている。

だいぶ調子が良くなった吉永課長の声が聴こえる。



「こいつは大学ん時すんげーいい選手だったんだよ、ホントに」


アメフトの話だとすぐにわかった。
アメフトをやっていた事は以前から聞いていた。


「またかい。もうエエやんか、その話は」

玄さんのうんざりした声。
「そんなこと言ったってなぁ、俺は最後のリーグ戦で万全でもない状態のおまえに勝ったって嬉しかぁなかったんだよ」


「………」
わざわざ振り向かなくても、背中越しに苦笑いを浮かべ焼酎を口に運ぶ玄さんが目に浮かぶ。


「新山課長と吉永課長って大学の時ライバルだったんですか?」
話の内容が気になったのか、私の横で聴いていた男性社員が玄さん達の輪に割って入る。
私達若手社員の輪は玄さん達の輪に吸収される形になってしまった。

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