23時の情熱
どうしよう。
玄さんを起こすか。



迷っていると、携帯の震えは止まった。



―――思わずため息が出た。


どっちにしても、起こさないと。






「……玄さん。もうすぐ8時だよ」
肩に手を乗せ、小さく揺すってみる。

すると彼は目を開けず、私の手を引いて抱き寄せた。


「……んー、まだエエやろ………」

無意識で抱き締められた。


他の誰でもない、寝惚けた頭で私を求めた。




………電話の事は言わないでおこう。
気付かなかった事にしておこう。


再び、ベッドに潜り込む。

「………もう少し瞳子抱いときたい」

細く目を開けて、玄さんが微笑む。



背中を撫でる玄さんの手についビクン、と身体が反応する。
私は彼の上に乗り、ゆっくりと口づけた。

身体が火照ってくるのが分かる。

絡めた舌の動きが寝起きの頭を完全に覚醒させた。

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