23時の情熱
「……大阪には泊まらへん。こっち帰って来たら…すぐおまえんとこ行くわ」


「無理しないでいいよ。……一晩ぐらいゆっくりしてきたら?」

精一杯の強がりだった。





「………せなや。ゴメン」

「なに。どうして謝んの」
笑顔を向けたが、今度は玄さんが視線を外した。





「………おまえは強いな」






電池の切れたロボットの様に、動けなくなった。




「…俺はあかん。……俺は…おまえみたい強なれへん」





―――どうしてそんなこと言うの……?




―――強くなんてないよ………




「………俺は弱いな」






頭を抱える玄さんのため息に、身体が飲み込まれてしまう様な感覚に襲われた。



――――ズルい。そんな事、自分から言うの?




玄さんが弱いんなら、私が強くなるしかないじゃない―――――








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