23時の情熱
それでも、いざ行動に移そうとするとつい尻込みしてしまう自分がいた。



出張から帰って来てからでもいいか………



つい、結論を先延ばしにしようとする自分がいた。





『―――おまえは強いな』




強くなんかないよ。


今だって、まだ迷ってる。

ただ、これ以上玄さんを苦しめたくない。






私達は、明るい未来を語る事はない。


友達に堂々と紹介する事も出来ない。


小さなケンカならたまにする。でも、いつも彼が先に折れる。

ケンカの度に、別れる、別れないの話になる。
それを避けたいのか、彼は自分から折れてくれる。



お互いに終わらせたくはないのに、いつも私は玄さんを責めてしまう。
何も言い返さない玄さんを、家庭を捨てない玄さんを、私ばかりが辛い思いをしている様な気になり、理不尽にも責めた。




もう、本当に終わりにしよう―――



この決意が揺るがないうちに。



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