23時の情熱
「もうちょっと痩せたらいいのにねぇ」


「ホント。若い頃とかけっこういい感じだったかもね」




アメフトで着けた筋肉の代わりに、今は肩にもお腹にも贅肉を纏っている玄さん。

今も腕の太さは現役時代の名残を残すかのように大きさを保っているが、玄さん曰く
「もっと太くて硬かった」らしい。




「でも新山課長って面白いよね。この間もさぁ………」


玄さんの事を考えずに済むだろうと来たのに、何も知らない同僚達は容赦無く彼を話題に出し、好き好きに評価していた。






―――逢いたい。


――――声を聴きたい。



無理に閉じ込めようとしていた感情を引きずり出され、寂しさと虚無感に襲われる。




改めて思い知らされた。




心は今でも玄さんを求めている。




こんなんで終わりにしようなんて、言えるのかな、私――――。




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