23時の情熱
いつものように定時で会社を出たところで、携帯が鳴り出した。
―――玄さんからの着信。
「…もしもし」
「仕事終わったか?」
いつになく明るい声。
「……終わったよ。今会社出たとこ」
「そか。お疲れさん。俺も今帰る支度しとった」
明日の夜には玄さんが日本に帰って来る。
やっぱり嬉しさは隠せない。口元は思わず微笑んでいる。
「気をつけて帰って来てね」
「……なんやヤケにしおらしいな。そんなに寂しかったんか?」
携帯の向こうでもニヤけた表情が目に浮かぶ。
「………寂しいに決まってるじゃない」
少しの沈黙。玄さんが戸惑っているのが伝わる。
「今度はヤケに素直やな。
……土産買うてきてやるさかい、もうちょっと我慢しといてな。瞳子」
優しい口調。
不意に、泣きそうになった。
玄さんの声を聴いて、寂しさと愛しさが募る。
―――玄さんからの着信。
「…もしもし」
「仕事終わったか?」
いつになく明るい声。
「……終わったよ。今会社出たとこ」
「そか。お疲れさん。俺も今帰る支度しとった」
明日の夜には玄さんが日本に帰って来る。
やっぱり嬉しさは隠せない。口元は思わず微笑んでいる。
「気をつけて帰って来てね」
「……なんやヤケにしおらしいな。そんなに寂しかったんか?」
携帯の向こうでもニヤけた表情が目に浮かぶ。
「………寂しいに決まってるじゃない」
少しの沈黙。玄さんが戸惑っているのが伝わる。
「今度はヤケに素直やな。
……土産買うてきてやるさかい、もうちょっと我慢しといてな。瞳子」
優しい口調。
不意に、泣きそうになった。
玄さんの声を聴いて、寂しさと愛しさが募る。