23時の情熱



0時50分。

ホテルの18階。

部屋の窓から見える夜景はいつも見る景色とはまるで違って輝いて見えた。



僅かな月灯りと夜のネオンに映し出されて、彼が吐いた煙草の煙が生き物の様に動き、さまよっては消えていく。



「明るくしたらあかんか?」

「え… なんで」


「まだおまえのことちゃんと見てへん。……見たいねん、ちゃんと」

ベッドの中で上半身だけ起こしたまま、彼が煙草を揉み消した。

私もゆっくりと身体を起こし、彼の方を向いた。

「…恥ずかしいよ玄さん…少しだけ、ね…」


声が上擦った。


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