23時の情熱
あまり片付いているとは言えない彼の部屋に上がると、『男寡(おとこやもめ)』という言葉が頭に浮かんだ。

…少なくとも私以外に部屋を片付けてくれる女の人はいないらしい。





他の女の存在を気にした事が無い訳じゃない。


奥さんとは2、3ヶ月に一度ぐらいしか会わない様な事も言ってたし、寂しさから浮気をする旦那なんてよく聞く話。



彼だって一人の男。



私の前にも誰かいたかも…




猜疑心なんて言葉、今の私が使ってはいけないのかも知れないけれど、
今までもこの部屋に女の人が来た事があるかもしれない。


そう思うと胸のあたりが鉛を飲み込んだ様にずしりと重く感じた。


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