23時の情熱
リビングに通されると、彼はよく冷えたアイスコーヒーを二つ、出してくれた。


お揃いのグラス。
いつも奥さんが来ている時に使ってるグラスなのだと容易に想像がついた。


カーテンもソファーもテーブルも、そして今この手の中にあるグラスも、きっと奥さんの趣味で選んだ物。




居心地が悪い。


いたるところから奥さんに見られているような気がして、落ち着かない。






………見てる?
……誰が?




彼が隣に腰を下ろした。

手を繋ぎ、指を絡ませる。彼の肩に頭を乗せて、言った。


「この部屋で誰か抱いたことある…?」



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