23時の情熱
その頃、私はある会社の内定を貰った。



玄さんの勤める会社。

「おま…、頭めっちゃええやん」


玄さんは人事課の課長。私の大学での成績を見たらしく、驚きを隠せないようすで言った。


「同じ会社ってやっぱ迷惑…?」

彼の表情を窺う様に、恐る恐る聞いた。

「いや、迷惑とかんなことないけど…名前見てビックリした」

「成績見て…もっとビックリした」

困惑混じりの笑顔。
「凄いやん。見直したわ」


……だって頑張ったもん。
少しでも、傍にいたかったから。

玄さんの傍にいたかったから……。



< 57 / 183 >

この作品をシェア

pagetop