23時の情熱
クリスマスプレゼントは、指輪だった。二人で選んだ。シルバーの丸みを帯びたリングに、誕生石の小さなサファイアが光る。


「…意外と指太いねんな」


「………!」

頬を膨らまし彼を睨む。
彼の憎まれ口も今日は心地いい。


私からのプレゼントは手袋。これも二人で選んだ。

稼ぎも無い学生から貰えるか、と言い張る彼の手を無理矢理引いて店に連れ込む。

困惑顔の店員。……と玄さん。

強引に二つ選んだ。



「どっちがいい?」





また一つ、宝物の様な思い出が増えた。

リングに光る濃いブルーの輝きとともに。




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