23時の情熱
約1ヶ月間の研修期間が終わって正式に配属が決まり、やっと玄さんを見つける事が出来た。
部下らしき3人とエレベーターに乗り込むのが見えたのだ。
書類を手にしていた彼の視線は手元に落とされたまま、何やら話しながら歩いていく。
すれ違う私には気づかない。立ち止まり、軽く会釈した。
エレベーターに乗り込んだ部下らしき一人が私を見る。目があった。
エレベーターが閉じ、静かに上がって行くのを見送った。
初めて見る、仕事中の玄さん。
不思議な感覚だった。
何だか知らない人の様で、
……ちょっとカッコいいかも?
なんて今更ながら意味も無くドキドキした。